7)現行歴史教科書の実状

 「今日までのあらゆる社会の歴史は、階級闘争の歴史である」で始まり、「万国のプロレタリアよ団結せよ」で終わるのが「共産党宣言」である。自国の歴史を、この共産党宣言に無理にあてはめて書いたのが、現在の日本の歴史教科書である。共産主義によれば、歴史を全否定して人間社会を新しく創造できることになり、ここから「過去を否定することによって理想の未来社会に進歩する」とする偏った信仰が生まれる。この筋書きは、まさに現行の歴史教科書の骨格そのものである。すなわち原始時代を理想とし、文明の発達に伴い所有に差が生まれ不平等が生じ、そのため抑圧からの解放を目指して、階級闘争が続いてきた。そして革命を賛美し、未来は進歩的な「地球市民」となる筋道である。

(我々は、地球市民思想の本質を見極めなければならない。)

 その筋道に添って、日本を貶め非難するさまざまな記述が加えられているが、基本的な流れはこれ以外にない。すなわち現在の日本の歴史教科書は、すでに破綻した「マルクスレーニン主義を宣伝するパンフレット」以外の何物でもない

 中国や、北朝鮮ならばいざ知らず、なぜ「自由主義社会に暮らす」我々の子供たちが、「マルクスレーニン主義の教科書」で学ばなければならないのだろう?このような特定のイデオロギーに基づいて書かれた教科書で、教育の「中立性」は保たれるのであろうか?

 こういう教育が行われる一つの理由は、昭和7年にスターリンが、「日本の歴史を抹殺せよ」と言うテーゼを出しているのだが、そのテーゼがそっくりそのまま、ソ連が崩壊した今日でも日本の教職員組合の間に流布されているからだと言う。スターリンのばら撒いた、「撒きビシ」は、今も日本の子供たちを苦しめているのだ。

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