『稽古で泣いて試合で笑え』
   試合で負けて泣いたり、試合で負けてへらへら笑っているうちは、強くなれない。くやし涙は稽古で流し、試合では勝って豪快に笑おう。 

   

 
『打ってみようが負けのもと』
   試合の中で、この辺で打ってみようかと、確かな気持ちもないのにいいかげんに打っていく。これは、逆に相手に打たれる場合が多く、負けの原因になります。打っていくときは、全力を出しつくして打っていくことが必要です。

   

 
『残して打つな、捨てて打て』
   全力をふりしぼり、この1本に精魂をこめて打ち込む気持ちが大切である。2本目、3本目のために少し力を残しておこうと考えてはいけない。そして、打ち込むときは捨て身になり、身の安全などは考えずからだ全部を投げ出す決意で飛び込んでいく。 

   

 
『危ない時は、前に出よ』
   スポーツはときに人間の本能と逆の行動を要求する。それを身につけるのが日頃の鍛錬である。わが身の危険を感ずると、人は本能的に後ろに下がってしまう。ところが剣道では、危ないと思った時に、後ろに下がってしまうと必ず打たれる。むしろ前に出た方が安全である。「下がったら打たれる」のが剣道の鉄則である。 

   

 
『起こり第一、引き第二』
   相手と対したときに、お互いに十分な気合が入っているときは、ただ打ってもなかなか当たらない。打つのに一番いい機会は、相手が技を出そうとして動作に表したその瞬間(これを「起こり」という)である。そして、二番目にいいのは、相手がこちらの気勢に押されて後ろに引いたときである。どれもほんの一瞬のことで時間にすれば、1秒もない間だと思うが、そこを見逃さず打っていけるようになってほしいですね。 

   

 
  
      
 

 負けてくさらず、勝っておごらず

 
       
 

 参考文献 「新版 必ず強くなる剣道の秘訣」
(著:伊保清次 立花書房)