2)戦後喪失した日本の歴史(空白の50数年間)

(1)自信の喪失 これなら学級崩壊もうなづける

 「戦争」は人間の狂気だから良くないというのが常識的な認識だと思うのですが、どう見ても現行の歴史教科書では「戦争」は日本が悪かったから良くないと言っているのです。これはいわゆる太平洋戦争の戦勝国によって罪の意識だけ刷り込まれた、占領政策である「心の武装解除」の結果に他ならないのです。またその後を引き継いだある種の歴史観で在ることを多くの人が知らないでいるのではないでしょうか。日本だけ悪いことをしたと言いますが、アメリカは日本への二度の原子爆弾投下で一般人を虐殺するという、法的に見てあきらかな「戦争犯罪」を犯しています。もちろん戦勝国ですから一度も裁かれていません。心の中ではどうか知りませんが・・・。世界中で狂気のない戦争を行ったところは一つもなく、ある意味自分の意志で戦争を行った国は、すべて悪いこともしたのです。どこの国も自分の国の利益だけを考えて戦争したはずです。現在の平和?な時代からは想像もできないのですが、当時は侵略するか侵略されるかのどちらかでした。とりわけアジアにとってはせっぱ詰まった状況で、戦うことが人間らしい生き方をする為の唯一の選択であったのです。ほかに選択はあったでしょうか? もし日本が戦わずにいたら、早晩どこかの国に占領され、いまだに独立運動を呼びかけているかもしれません。戦争とは、いつ他国から侵略を受けるかわからないという、不安から抜け出すための手段の一つではないでしょうか。それぞれに正義があったと思うのです。仮の話ですが、もし日本がこの戦争で勝たずとも引き分けにでも持ち込めていれば、このような歴史認識、このような教科書にはなっていなかったでしょう。敗戦国となったが為に持たされた歴史なのです。一方的に日本が悪いと言うことはありえないのです。戦後50数年たってなぜ未だに「戦後」を引きずっているのでしょうか。なぜ教科書が自国を愛せない内容を教え続け、どの部分を見ても日本は悪く、事実は歪曲され暗く記述され、検証もされていないいい加減なものを大きく取り上げるのでしょうか。そのような現象からどのようなことが起こってくるでしょうか。

 歴史を否定・寸断するという行為は、何千年何万年継承してきた漂う空気のような無意識のアイデンティティを、実に深いところで否定・空洞化する国家的自己否定であり、誇り愛国心を喪失することに他ならないと考えます。筆者にはその不安な潜在意識の中から、生きる力を持てない子供たちや大人達(教師も含む)が創り出され、えも言われぬ不安にさいなまれ、「いじめ」や「学級崩壊」「無気力」「犯罪の多発」といった声のない悲鳴を上げているように思えるのです。



 右のグラフは正義感・しつけについての文部省・国際調査朝日新聞朝刊
2月5日付)です。『日本では、「友達のけんかをやめさせた」「いじめを注意した」といった行動を繰り返している子供は一割に満たない。社会のルールや道徳を家庭で教え諭している親も項目によっては一割を切り他の国と比べて極端に少なかった』と解説しています。子供と深く関われない大人の状況を示しているわけですが、どうもバブルの崩壊だけが原因とは思えないのです。世界の中で深く自信を喪失してしまっている日本の現状が、そこには浮き彫りにされているのではないでしょうか。これなら学級崩壊もうなづけませんか。

 この表題では、『検証戦後教育』(高橋史朗著)から多く引用してあります。便宜上、これ以降は著者名を省きます。また引用箇所の下線は担当筆者です。

 

 

 

 

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