Don't Surrender!!┃サイドデッキは飾りじゃない
サイドデッキは飾りじゃない


はじめに

遊戯王も時が流れるにつれて大分様変わりしてきました。
現在では過去の【スタンダード】【カオス】のような絶対的存在が壊滅し、デッキの多様化が進んでいると言われています。
そう考えると、以前よりもメタを張りづらくなってきているということになります。
例えば、十中八九のデッキが【カオス】であるような『支配された環境』ならば、《霊滅術師カイクウ》や《王宮の弾圧》といったメタカードをメインデッキから積極的に採用できます。
しかし、様々なデッキが入り混じる『多様化された環境』ならば、環境に対する明確な答えが見つけづらくなります。
狭く深く対策しようとすれば、「このデッキタイプには有効だが、あのデッキタイプには無力だ」という不安定なデッキになってしまいがちです。

そのように幅が広がった環境になった場合に、より重要性が増すものがあります。
それは『サイドデッキ』です。
サイドデッキには『特定のデッキタイプへのメタ』『コンセプトチェンジ』という役割がありますが、環境が多様化されればされるほど、前者に関する意識を強く持つことが必要になってくると考えます。
広い範囲にメタを張りたいならば、できるだけ多くのカードを使える方が良いのは当然のことです。
そう考えるとメインデッキを入れ替えることのできるサイドデッキをいかに有効活用するかが焦点になってくると窺えます。

では、実際はどうなのでしょうか。
私は「めたぽの壺の中。」において定期的に行われる「ネットデュエリスト意識調査」にサイドデッキ集計員という形で加担させてもらっています。
今回は、2006年後期〜2007年前期に行われたネットデュエリスト意識調査をふまえながら考えていきたいと思います。


『特定のデッキタイプへのメタ』について

今回の意識調査においてサイドデッキに
  • コントロールデッキへのメタカード
    ex) 《王宮のお触れ》《砂塵の大竜巻》《デス・ウォンバット》《氷帝メビウス》
  • ワンターンキルへのメタカード
    ex) 《和睦の使者》《威嚇する咆哮》《クリボー》
  • 環境を支配している特定のカードへのメタカード
    ex) 《マインドクラッシュ》《封魔の呪印》
を投入している場合が多いことが分かりました。
これはメインデッキは《サイバー・ドラゴン》《死霊騎士デスカリバー・ナイト》《E・HERO エアーマン》のビートダウン勢を意識した構成にし、サイドデッキでコントロールやワンターンキル、特定のカードを対策するという基本的な『特定のデッキタイプへのメタ』を意識した形のデッキが多かったことを意味するのだと思います。

このサイドデッキの三つの傾向の内の一つである『環境を支配している特定のカードへのメタカード』に関して、私は疑問を抱きました。
属性・種族による特性が殆ど無い遊戯王において、多様化されたように見える環境の中に『支配された環境』は存在します。
そのメタカードを『サイドデッキに』投入している。これはとても非効率的な考え方ではないでしょうか。
《マインドクラッシュ》は主に《冥府の使者ゴーズ》《E・HERO エアーマン》《封印の黄金櫃》を対策する目的で入れているのだと思います。
対策されるこれらのカードはメインデッキの各部門投入数ランクで《E・HERO エアーマン》が1位、《冥府の使者ゴーズ》が4位、《封印の黄金櫃》が2位と環境の中心となっていることが読み取れます。
しかし、それらへのメタカードをサイドデッキに入れてしまえば、単純に考えて二戦目以降からしか対策できません。
恐らく、これらのカードをサイドデッキに入れているということは「一戦目から対策しようとしているカードが相手に入っていなかったら使えない。一戦目は無難なカードで様子を見てから」という考え方なのだと思います。
しかしながら、私は『環境を支配している特定のカードへのメタカード』は対象のカードが高確率で相手のメインデッキに存在するのだからサイドデッキに入れるよりも積極的にメインデッキから採用していくべきだと思います。
【カオス】に支配された環境で《霊滅術師カイクウ》を使うことと同じで、多様化したと錯覚させようとする『支配された環境』の元凶へのメタカードを積極的に使用することこそが大切ではないかと思うのです。
そして、そのメタが外れた場合に備えてサイドデッキが存在します。
《マインドクラッシュ》で考えてみても、《押収》《死のデッキ破壊ウイルス》で手札を確認したり、《抹殺の使徒》やフィールド・墓地などの公開情報から相手の手札を読むことで多少強引でありながらも役割を果たすことができ、完全に無駄になることはありません。
そうやって一戦目を凌ぎ、二戦目以降はサイドデッキで出番を心待ちにしている特定デッキへのメタカード達にバトンタッチすればよいのです。


『コンセプトチェンジ』について

次にサイドデッキのもう1つの役割である『コンセプトチェンジ』についても考えてみます。
支配された環境においては、サイドデッキに充分な余裕があるため、相手は特殊なデッキタイプに対して徹底的にメタカードを投じることができます。
一方で多様化された環境の場合、サイドデッキは様々なデッキタイプにベクトルを向けなければならず、どうしても対策が甘くなってしまいます。
そうなると、コンセプトチェンジしたデッキが本当に奇抜なスタイルでなければ、相手の原形を留めたメタデッキに『柔軟に』対策されてしまうのです。
つまり『多様化された環境』では『支配された環境』以上に思い切りの良さが必要になり、サイドカードを総動員させ、デッキタイプを180度転換させるくらいのはっきりとしたコンセプトチェンジが求められると思います。

『コンセプトチェンジ』に関して今回の意識調査で特に気になったのは『一級線カードのサイドデッキへの投入』です。
サイドデッキ投入数ランクにおいて13位の《サイバー・ドラゴン》はメインデッキ―モンスター投入数ランクでは2位、同じく13位の《地砕き》もメインデッキ―魔法投入数ランクにおいて2位に入っています。
17位の《強制転移》や23位の《炸裂装甲》、その他ランキング下位のカードにも関してもメインデッキへでは上位の投入数であったカードが見受けられます。
しかし、これら環境の中心となっているカードに対しては、相手はメインデッキから既に意識しているに違いありません。
そのような環境を支配しているカードをわざわざサイドデッキからメインデッキに入れるのは、まさに飛んで火に入る夏の虫ではないかと思います。
これらのカードはコンセプトチェンジというよりも『デッキの調整』の目的である気がします。
環境云々以前に、一級線のカードは事前のデッキ調整の時点で必要かどうかを判断し、最終的にはメインデッキに投入するか不採用にするかの二者択一の存在あり、サイドデッキには必要ないと私は思います。


総括して

『環境を支配している特定のカードへのメタカード』『デッキの調整をするカード』はサイドデッキには必要ありません。
『環境を支配している特定のカードへのメタカード』をメインデッキに移行し、『デッキの調整をするカード』を事前のデッキを調整の時点で取捨し、生まれたスペースで『特定のデッキタイプへのメタ』『コンセプトチェンジ』を強化することで、『多様化された環境』に錯覚することなく自分のプレイスタイルを維持できると思います。

「デッキは55枚で構成されている」と仰られていた方がおられましたが、まさにその通りだと思います。
サイドデッキは飾りではありません。
トーナメントシーンで戦い抜くためには洗練されたサイドデッキが必要不可欠なのです。
これを機に、メインデッキだけでなく、サイドデッキにもしっかり目を向けるようになってもらえたら幸いです。