ここでは、地球と地球上の位置についての説明をします。
@地球の大きさ
 地球は、赤道を長とする楕円体です。
 楕円体の長さについては、いままでいろいろな地球楕円体がありました。
 現在の地図の基準となっているものは、ベッセル楕円体であり、1841年に赤道半径を6377.397kmとしました。
 しかし、現在は、測地基準系1980(GRS80楕円体)としています。(右の図)
 地球の赤道周長はおよそ40076km、極周長はおよそ39940kmです。
 メートル法は、フランス革命(1789年)のときに、フランスのその当時の測量によって北極からパリを通り赤道までの距離を測り、その1,000万分の1を1mと決められました。よって、極周長は40000kmとなりました。
 しかし、幾度かの変革を経て、現在の1mの定義は、「光が真空中で(1/199792458)sの間に進む距離」となっていることにより、少し長さが変わっています。
A経度と緯度
 地球の位置を示す経緯度については、1884年にイギリスのグリニッジ天文台を通る経度を0度と定めました。これを子午線といいます。この子午線より東側を東経、西側を西経といいます。
 また、緯度については、赤道を0度として、北側を北緯、南側を南緯といいます。
 経度と緯度については相違があります。左図のように、経線は北極と南極を通る線とし、子午線からの角度によって経度が決まります。また、緯線は赤道と平行とし、赤道面からの角度によって緯度が決まります。
B緯度による距離の違い
Aで説明した通りであれば、緯線上での距離は等しいが、経線上での距離は、赤道から極にいくにしたがって短くなります。
赤道上での距離 緯度1秒の距離 30.866m
経度1秒の距離 30.866m
北緯 34°20′・東経 134°02′での距離 緯度1秒の距離 30.866m
経度1秒の距離 25.488m
CGPS測量
 GPS(=Global Positioning System:汎地球測位システム)測量は、高度約2万kmの6つの円軌道に4つずつ配された米国防総省が管理するGPS衛星からの電波を利用し、緯度、経度、高度などを数十メートルの精度で割り出すシステムです。測点に据え付けた受信機で上空からの電波を受信して測量するため、これまでの測量と違って、測点間の視通の確保や天候の良し悪しに関係なく測量ができます。
 GPSを利用した測量の方法
単独測位
 GPS衛星から送信される衛星の位置や時刻などの情報を1台のアンテナで受信することにより、衛星から電波が発信されてから受信機に到達するまでに要した時間を測り、距離に変換します。
 位置のわかっているGPS衛星を動く基準点として、4個以上の衛星から観測点までの距離を同時に知ることにより、観測点の位置を決定するものです。
 この方法は、衛星の位置誤差や衛星からの電波が対流圏や電離層を通過するときの電波の遅れなどから、約10mの誤差で位置が決定されます。
 自動車などのカーナビとして利用されています。
相対測位
 2台以上の受信機を使い、同時に4個以上の同じGPS衛星を観測します。
 GPS衛星の位置を基準とし、GPS衛星からの電波信号がそれぞれの受信機に到達する時間差を測定して、2点間の相対的な位置関係を求めます。この方法を相対測位と呼んでいます。
 各観測点で同じ衛星の電波を受信していることや衛星から発射された電波が同じような気象条件の中を通過してくることから、2点の観測値の差をとることにより、観測値に含まれる衛星の位置誤差や対流圏・電離層遅延量が消去されることにより、100万分の1(10kmで1cmの誤差)の精度で2点間の相対的な位置関係が分かります。
 一方の受信機を、国土地理院が設置している電子基準点を利用することにより、地球上の位置が正確に求められます。