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私が敬愛する松浦さん《盲人会世話係)が歌集を出版されました。十年前に朝光の島と題される歌集を出版されていて、今回二冊目です。奥さんの冨美子さんへの優しい想いなども詠われています。私は月に一度はご夫婦の寮舎を訪れ過去のことやこれから先の事など、色々と話し込んでは船の時間を忘れそうになることもあります。
青海の果ては霞と融け合いて わが住む島に春は来にけり

握る力なくなりし手にペン結わへ 書くことも覚えぬ病み古りにつつ

麻痺の手に握る切符をいく度も 眼に確かめつつバスにゆらるる

庭を蔽ふ松の木陰に汗吹きつつ 草屋根崩えるわが家見ており

牛の息夜夜に聞きつつこの納屋に 隠れ病みしも遠き日となる

生活苦のあはれと言へどうかららと 共に死ぬるを奢りとも思ふ

新築の寮の木の香に涙出つ 三十年の病に耐へきて

不具の身の二人の末は如何ならむ 年越しそばに温まりつつ

没リ際の日の射し入りて海沿いの 松林の中しばし明るむ

海あかりとどく松林の下歩く 足の手術の心きまらず

胸あつく最北の地に降り立てリ 義肢なれど癌の癒えたる足に

舌もつれ聞きとりがたくふるさとを また姉を恋う常臥の君

藁草履はきて山坂駈けていし 夢のつづきを見んと目を閉ず